フクダーダ 『相思相愛ノートニサツメ』

●出版 コアマガジン
●定価 1000円(税別)
●乳シズム ★★★★★
●推奨ランク BC
●フェチ嗜好 乳吸い・乳揉み・乳首責め・パイズリ
 

 
REVIEW
相思相愛ノートニサツメ

 2012年5月発売。
 フクダーダ氏の4冊めの単行本。
 担当編集者の中に、以前短編ポルノの担当をしていただいた方のお名前を見つけて懐かしくなった。お元気ですか?
 というわけで、帯の紹介。
「セックスが嫌いな女の子はいません!! 癒し系・狩猟系・尽くし系・ツンデレ&more。きっと出逢える、アナタ好みのオンナノコ。ファンが待ち望んだコレまでの未収録作品も全て収録!! オッパイマイスター渾身の最新刊」
 よく出版社が謳う「オッパイマイスター」は、造語すると「虚称」、つまり嘘の称号であることが多いが、フクダーダ氏は宣伝通り、巨匠への道を着実に歩んでいる。
 本作のカラーは、「学園的関係」と「顔なじみとのセックス」だ。
 主人公は、高校生か大学生である。そして相手は、怖い水泳部の女部長。あるいは、すでに肉体関係のある後輩女性。あるいは、すでに結婚したかつてのクラスメイト。あるいは主人公が所属するサッカー部のマネジャー。すなわち、主人公が学園つながりで知っている女性だ。その顔なじみの女性と学生とのセックスが描かれている。
 もちろん、まったく知らない女性との出会いとセックスが描かれている話も、2本ある。だが、それも学園的関係を軸にして描かれている。相思相愛ノートとは、「学園的」相思相愛ノートなのだ。フクダーダ氏の絵柄には、非常によく合っている。
 ほとんどの話は、ラブコメ系だ。つまり、甘いハッピー路線が基調になっている。1つだけ若さ溢れる苦い結末のお話が用意されているが、「痛いお話」ではなく、青春につきものの苦さだ。神経質に恐れたり、買い控えしたりする必要はない。相思相愛ノートの味は、基本的に甘くハッピーなのだから。
 「乳揉み・乳吸い・乳首責め・パイズリなどの巨乳フェチプレイが、前戯においては連続2カット以上、挿入中においては1カット以上描かれていた場合に、1回とカウントする」という基準で見た場合、全10篇中、
 乳吸い7(挿入中1)・乳揉み7(挿入中3)・乳首責め6(挿入中2)・パイズリ2。合計、22
 パイズリ2つのうち、1つは射精ありで2頁10コマも描かれている。しかし、もう1つは3コマだけで射精しないまま、別の行為に移ってしまっている。パイズリ好きの人には、物足りないだろう。
 しかし、乳吸いと乳揉みと乳首責めは充実している。中でもすばらしいのは、シークエンスの多さだ。
 「乳揉み⇒乳吸い」への6カット連続のシークエンス、「乳揉み⇒乳吸い」への5カット連続のシークエンス、「乳揉み⇒乳吸い⇒乳首責め」への7カット連続のシークエンス、「乳揉み⇒乳首責め」の3カット連続のシークエンス。これだけシークエンスが用意されている巨乳フェチ漫画も珍しい。フクダーダ氏自身はあとがきで、「コンセプトはまたしても全員乳出し、おっぱいおっぱい。構図を全員分ひねり出すのはしんどかった……ただでさえ引き出し少ないのに」と記されているが、類似性はこのシークエンスの多さで帳消しだろう。これこそは紛れもないオッパイ星人の証だ。評者としては、シークエンスの多さにフクダーダ氏の特長と可能性を見いだしたい。
 巨乳プレイの充実度は、文句なしのAランクだ。ピストン運動を求める読者にも、本書は充分に応えてくれるだろう。
 気になったのは、騎乗位を水平レベルで描いたカットが非常に多かったこと。騎乗位で交わる女性を水平アングルで描いたカットと、正常位で交わる女性を真上からの俯瞰アングルで描いたカットとは、映像的な類似性が強い。特にそれを何度も画面に大きく描くということを多用すると、類似性は印象的になる。騎乗位で交わる女性を水平アングルで描くのは、そのアングルが騎乗位女性の全体像を一番見せられるからというのもあるのだろうが、評者自身は、そのアングルが、女性を、男と1対1の存在、ペットではなく同等にお互いを愛し愛される存在として見せることができるからではないか、と考えている。セフレ的にパートタイムラバーとしてかすめ取るのではなく、真摯に1対1の相手として向き合いたいという著者の気持ちが知らないうちに滲み出ている……と考えるのは読み取りすぎだろうか?
 個人的なわがままになるが、評者としては、騎乗位で交わるヒロインを他のアングルで描いたカットも、大きめの絵で見てみたいと思っている。だが、同時に水平アングルの描写はつづけてほしいとも思っている。
 マンネリには、よいマンネリと悪いマンネリがある。よいマンネリとは、読者が望むのなら類似したものを提供するということ。悪いマンネリとは、まったく新規性がないということ。読者は「すべてが真新しいこと」を求めているのではない。8割の反復性と2割の新規性を求めている。自分たちが残してほしいと思うところは8割残してもらって、残り2割で違う部分を見せてほしいと思っている。
  巨乳フェチは上半身に愛撫が集中するゆえに、映像的な類似性に陥りやすい。それは、30作品近く巨乳ゲームばかりつくってきた評者には、非常によくわかる。だからこそ、こう思うのだ。いかにマンネリと戦うか、いかにマンネリと戯れるかはクリエイターの特権である。
 どんな形になるにせよ、5冊目が楽しみだ。フクダーダ氏は、デフォルトで購入できる数少ない巨乳フェチ漫画家なのだから。

 相思相愛ノートニサツメ
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