奴隷ジャッキー 『A wish』
●出版 エンジェル出版
●定価 876円(税別)
●乳シズム ★★★★★
 

 
REVIEW

 2004年1月作品。
 集団に輪姦される女の子は、ちゃたろー氏のマンガにも登場する。だが、あの陰湿さを、乳責めの点で上回る作家は奴隷ジャッキー氏ただ一人であろう。
 本書は、ねじれたロマンスである。
 アクロバティックなロマンスであると同時に、挿入的=勃起的ロマンスである。
 射精的ロマンスではない。
 物語のクライマックスに用意されているのは、主人公の射精ではなく、ペニスの挿入だからだ。射精せずふにゃちんにならずに硬度を保ったまま挿入に成功する。それが全編の山場である。
 というわけで、お話。
 霧島さんは、主人公森崎が憧れる爆乳の女の子。主人公は高校入学時から彼女に憧れている。そんなお正月、初詣で主人公は彼女に再会してしまう。思わず後ろ姿を追いかけるが、そこで目撃したのは、輪姦されている彼女の姿だった。
 何をするんだ。やめろ。
 そう思いながら、でも、彼女に突っこみたくなる主人公は、ずっと勃起しなかったペニスが反応してしまうのだ。挙げ句の果てには彼女にペニスを突っこもうとするのだが、衝撃的な事実が待っていた。彼女の初体験は、輪姦だった。以来、輪姦されないと感じない身体になってしまったのだ。
 以来、主人公の目の前で、何度も彼女は輪姦されることになる。そのたびに揉まれ、吸われる乳房。これが実にエロい。一人の男にピストンされながら別の男に乳房を揉まれる彼女に、二人の男から双つのオッパイを吸われる彼女に、主人公と同じように「この野郎」と思いながら勃起してしまうのだ。そこに描かれているのは、輪姦される女ではなく、輪姦される乳房なのである。
 輪姦される彼女に、勃起する主人公。輪姦をされる者と、輪姦を眺める者。奇妙な構図をめぐりながら、二人のハートは接近し、アクロバティックにロマンティシズムは進んでいく。これをご都合主義と評するのは間違っている。ご都合主義で描くには、あまりにも背景が複雑すぎる。これは輪姦でしか濡れなくなった女と、トラウマから勃起しなくなった男との、壮絶な勃起的ロマンスなのだ。
 純愛主義者やロマンティテストは、その壮絶なじゅるじゅるどろどろ血みどろな最後には引いてしまうかもしれない。それでも、輪姦の中で揉まれ、責め立てられ、吸われまくる爆乳には五つ星の価値がある。そこに描かれているのは、ペニスを擬人化しただけの複数の男たちによる輪姦ではない。ペニスだけではなく、手と口を擬人化した男たちによる輪姦なのだ。そこにあるのは、紛れもなく真性のオッパイへの愛なのである。
 A wish
 A wish